木造のオフィスビルや工場が増えている?耐火性・耐震性の課題をクリアする新構法

公開日:2023/06/09 最終更新日:2023/06/26

近年、住宅だけでなくオフィスビルや工場などでも木造が増えていることをご存じでしょうか。木造は鉄筋鉄骨造と比べて耐震性や火災に弱く、工場などには不向きという印象を持っている方も多いのではないでしょう。ここでは木造のビルが増えている背景や、最新の構法、木造の耐火性建築物の事例について紹介します。

木造のビルや工場が増えている背景

ここ数年、世界規模でSDGs、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが求められるようになってきています。この流れをうけて、脱炭素社会に向け、カーボンニュートラル経営に取り組む企業も増えています。

木造建築は温室効果ガスの削減や森林保護の観点から、環境に優しい選択として注目されています

木材は再生可能資源なので、木材を建築に活用することで二酸化炭素の排出量を削減することができます。樹木は光合成により二酸化炭素を吸収するので、建築資材として利用することで二酸化炭素量を長期間固定できます

また、循環型経済の観点でも関心を集めています。農林水産省も「森林・林業再生プラン」として、2025年までに木材自給率を5割以上にするという目標を設定しており、木材利用を促進しています。

一般住宅だけでなく、ビルや工場といった商業建築を木造にすることは、木材の利用を大きく増やすことにつながります。加工技術や接合技術の進歩によって、木造建築の設計や構造の柔軟性も大幅に向上しています

技術の進歩によって木材を使用できる範囲が拡大し、大規模なビルや工場の建設にも適用されるようになってきました。木造にはコスト面での優位性もあります。一般住宅同様、木造を選択することでコストを大幅に圧縮することができます。

鉄やコンクリートと比べて軽い木材は、施工もシンプルで、工期も短くできるため人件費などの費用を削減できます。特に地価の高騰が激しい都市部において、建築費を圧縮できる木造のオフィスビルは経済的にも魅力的な選択肢となっています。

木造でも耐火性・耐震性を高める新構法

木造の大型建築が可能となったのは、木質ハイブリッド集成材が開発されたことが大きく関係しています。木質ハイブリッド集成材は簡単に言うと内部に鋼材をいれた集成材です。

鋼材を中に組み込み耐火性を高めた建築材の開発により、木造の耐火建築物の建築が可能となりました。

耐火建築物とは、柱、梁、床、屋根、壁といった建物の主要構造部に耐火性能のある材質を使って作られた建物です。

万が一火災が発生した際も建物が倒壊することなく建築物の中にいる人が避難でき、近隣にも延焼しないことが耐火建築物の主要構造部に対する要件として建築基準法で定められています。

木質ハイブリッド集積材はこの条件をクリアすることで、木造のビルや工場の建築を可能にしました。大林組が開発したオメガウッドはボルトやビスを使って単板積層材(LVL、ラミネイティッド・ベニア・ランバー)を一体化したものですが、間に補強鋼版を挟み込むことで強度を高めています。

こうした工場で二次加工され一定の強度が付加された木材は、「エンジニアリングウッド」とも呼ばれています。建物の密集した都市部では、火災が発生した場合の被害を抑えるため都市計画法により所定の建築物は耐火建築物であることが定められており、木造の場合は100㎡、2階建て以下の準耐火建築物しか建てることはできませんでした。

防火指定のないエリアでも特殊建築物である学校などは、木造の場合2階までしか建てられないと建築基準法で定められていましたが、木質ハイブリッド集積材が耐火基準をクリアしたことで、3階建て以上のオフィスビル、学校や幼稚園などが木造で建てられるようになりました

住友林業も、中~大規模木造建築を可能とする新たな構法として「ポストテンション構造」の検証を行っています。

純木造の耐火性建築物の事例「Port Plus」

「Port Plus」は、大林組が2022年に神奈川県横浜市に建築した、日本初の「純木造」耐火建築物で、柱、梁、床、壁といった構造体すべてが木でできています

木材は強度を高めるため3層構造になっています。3層の固定に筋のある鉄筋を使い、さらに中に接着剤を充填して強度を高めています。

部材は「剛接合」(いわゆるラーメン構造)という、部材同士の接合部分を完全に固定し、水平方向に力がかかっても接合部が回転したり変形したりしない方法で接合されており、これによって揺れに強い骨組みとなっています。

木材を特性に合わせて使い分けていることも、強さと粘りにつながっています

「Port Plus」は地震でどの方向からの揺れや圧力がかかっても倒壊せず耐えられるよう耐震性の高い建築物です。「Port Plus」は前述のオメガウッドなど新技術を駆使して、木造でありながらコンクリートの建築物と同等の耐火性、耐震性、遮音性を実現しています

まとめ

木造建築には、環境にやさしい、建築コストを抑えることができる、木本来の特性によるリラックス効果が得られるなど、さまざまメリットがあります。木造の大型建築は脱酸素社会の実現に向けた効果的なアプローチの一つです。すでにそれを実現できる技術が開発されており、今後木造のオフィスビルや工場がトレンドとしてさらに広がっていくでしょう。

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会社名ローコスト工房(株式会社三幸住研)進和建設工業株式会社株式会社澤村 CANARIS(カナリス)日鉄物産システム建築石井工業株式会社株式会社服部建築事務所(工場建設コストダウン.com)さくら構造株式会社
特徴低コストかつ短い工期で、自由度の高い設計の木造建築を主に手掛ける会社創業50年の歴史は安心と信頼の証。失敗しない地域密着の土地活用実績システム建築によって、低価格・短工期でありながら質の高い建築を実現できる業界唯一のシステム建築!40年もの超える歴史が支える信頼の技術が強み!明治37年創業で豊富な施工実績が魅力。顧客の希望に合った最適な提案を行う一貫した真摯な姿勢を貫く、常に顧客の視点を大切する建築事務所日本一の高耐震設計グループを目指す、全国で対応可能な日本有数の建築組織
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